研究の基本的な考え方
1 主題のとらえ方…「自ら学ぶ力」を“学力"ととらえる
(1)学力とは何か
2000/12 児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について
(教育課程審議会 答申)より抜粋
(2)本校の学力の定義
学力は,学んだ力,学ぶ力,学ぼうとする力
という3つの側面でとらえることができ,それぞれは,
右の図のように知識・理解,技能,思考力・判断力,
関心・意欲・態度と大きく関連をもっていると考える。
しかし,それははっきりと明確に分けられるものでは
なく,相互に関連をもっており独立したものではない。
2 副題のとらえ方…副題を主題達成に向けての手段・方法と考えて
「個に応じた指導の工夫」…一人一人の学力に対応した指導方法を目指すもの
*少人数指導や習熟度別,課題別などの指導を工夫
「個に応じた評価の工夫」…自己評価能力の伸長を目指すもの
*自己評価や相互評価などの工夫
研究構想図
目指す生徒像
1 自分の課題に気付く生徒
↓
2 課題解決に向け,手だてを講ずる生徒
↓
3 互いに教え合い,課題の解決に努める生徒 |
3 研究の具体的な内容と方法について
(1)個に応じた指導の工夫について
@ 実態と変容の把握について
ア 実態調査…単元(題材)や活動のねらいに合わせて,多面的・多角的に生徒の実態を調査
し指導(支援)に生かすことを目的
例:診断的学力検査,諸調査(好悪観,達成の程度,経験の有無など)
イ 個人カルテ…実態の記録及び保管,変容の把握,指導(支援)の手だてとして活用
A 指導目標及び指導計画の明確化と授業設計について
ア 基礎・基本の確実な定着…目標分析による基礎的・基本的学習事項の厳選,学習(指導)
過程の工夫,多様な学習活動の展開
イ 教材開発…興味や意欲の喚起を促す教材(学習材)の開発,段階的指導の工夫
B 多様な指導の場について
ア 発展的・補充的な学習…選択教科の指導の在り方を工夫,通常の授業における工夫
イ 少人数指導…数学科・英語科における習熟度別・関心別・均質等の少人数編成・指導内容
の工夫,全教科における指導(学習)形態の工夫
ウ 基本的学習習慣の育成…学習の振り返り活動や教科通信による支援
エ スキル学習の導入…教科検定等の設定
(2)個に応じた評価の工夫について
@ 目標準拠評価について
ア 評価規準(基準)の設定…観点別評価の吟味を通して身に付けた学力の把握と評価方法
評価場面の設定
A 個人内評価について
ア 自己評価能力の伸長…自己評価などによるフィードバック機能の活用(達成感・満足感,
学習意欲の喚起・高揚,学習内容の定着)
4 発展的な学習・補充的な学習のとらえ方
(1)発展的な学習について 発展的な学習については,文部科学省では次のように述べている。
自ら学ぶ力を育てる学習指導 −個に応じた指導と評価の工夫を通して |
本研究においては,発展的な学習について,基礎的・基本的な内容が十分身に付いたうえで,
学習指導要領より高い目標設定などで,学習内容が広げられたり深められたりする学習ととらえ,
各教科においての例を検討した。
〈国語の例〉・俳句や短歌を創作するだけにとどまらず絵や朗読などの表現活動を通してさらに深
めるような学習。
・文学史についての学習。
・ドラマのシナリオ作りなどの創作活動
〈社会の例〉・ 四大文明のうち一斉授業で取り扱うのは中国文明だけであるが,現学習指導要領
において削減されたその他の三文明について学習を広げる。
(新聞作りはまとめ方が違うだけでありそのままでは発展的な学習とは考えにくい)
〈数学の例〉・ 学習指導要領の基礎的・基本的な内容に対してより思考力・判断力を重視した内
容に取り組む学習
・ 学習指導要領で扱われていない種類のグラフの利用
・円周率の導き出し方
・数学史についての検証等の学習
〈理科の例〉・学習指導要領をもとにして,さらに興味をもって深めたり,その他の自然事象に
ついても応用して行う学習
・種子植物以外の植物の調査研究
・身近な環境問題についての調査研究
・エネルギーの変換
・科学史の検証
〈英語の例〉・ 未習である内容を先取りした形で行う。
・ 仮定法
・ディベート,ドラマ,スキット
〈音楽の例〉・ 音楽においては,学習指導要領の内容そのものが少ないので,合唱など普段の授
業で取り扱う内容についても十分に発展的であるといえる。
・和楽器の演奏,民族音楽
〈美術の例〉・作品鑑賞
・美術史の学習
・映像機器を用いた視覚表現
〈保健体育の例〉・練習方法,筋力トレーニングの工夫
・新しいスポーツへの挑戦
・オリジナルスポーツをつくる。
〈技術・家庭の例〉・コンピュータのウェブページ
・機械のしくみを調べる。
・学習指導要領で扱っていない工具を利用した作品製作。
・手芸,刺繍
以上が各教科から提案された発展的な学習の例である。各教科とも学習指導要領に示す内容の
理解をより深める学習を行ったり,さらに進んだ内容についての学習を行ったりするなどの具体例で
あるがさらに検討し,具体的に教科指導を行えるように工夫することが望まれる。
(2)補充的な学習について 本研究においては,補充的な学習を学習指導要領に示されている基礎的
・基本的な内容が身に付 いていないか,またはある基準に達していない生徒について行う復習的,
演習的な学習やより理解 しやすい教材や資料の工夫によって基礎的・基本的な内容を身に付けさ
せる学習ととらえた。 文部科学省では次のように述べている。
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補充的な学習とは,生徒の理解や習熟の状況等に応じ,学習指導要領要領に示す基礎的・基本的な内容の確実な定着をはかるために行う学習活動であるといえる。このため,各学校については,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,ティームティーチングなど様々な指導方法や指導体制の工夫改善を進め,当該学年で学習する内容の確実な定着をはかることが重要である。
(中等教育資料 H15.2)
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※「教育課程の基準の改善のねらい」より
(1)基本方針
@ ゆとりある教育活動を展開する中で,基礎・基本の定着を図り,個性を生かす教育を
充実すること。
A 各学校が創意工夫を生かし特色ある教育,特色ある学校作りを進めること。
(2)選択教科の役割
@ 選択教科のねらいは,生徒自身の選択により,生徒一人一人の特性を考慮して,そ
れぞれの生徒に適した選択教科を履修させ,興味・関心のある教科の学習を通して
個性の発見と伸長を図ることにある。
A 選択教科は必修教科と総合的な学習の時間の橋渡し的な位置にあるので,生徒の特
性などの多様化に対応し,課題学習,補充的な学習や発展的な学習など生徒の主体
的な学習を促進するように努め る。特に,生徒の個人差に応じた学習活動を多く
展開する。
B 創意工夫を生かした特色ある教育を展開し,特色ある学校作りをすすめる上で重要な
役割を持ち,その視点を配慮した教育課程の編成に努める。
C 児童生徒の選択能力を育成し,高める場としての役割を大いに活用するように努める。
(3)個性を生かすポイント
@ 一人一人の良さや可能性をのばす。
A 生徒の個人差への対応
(量的な個人差→到達度・学習速度 質的な個人差→興味・関心)
B 生徒の学習意欲を高めること
C 主体的な学習活動の充実
D 基礎的,基本的な知識・技能・態度の習得
(4)課題学習を行うために.
@ 日ごろからの学習で,生徒の興味・関心を引き出し,課題学習に取り組める力をつけておく。
A 生徒の興味・関心や疑問を大切にし課題を設定する。
B 生徒の実態に応じ課題の作り方や探求の仕方を指導する。
C 個人やグループでの学習を大切にする。
D 情報の積極的な活用を促す。
E 生徒相互で,成果の共有化を図る。
(5)補充的な学習を行うために
@ 生徒が補充したいと考える内容を決める。
A つまづき箇所の発見に努める。
B 指導のねらいを明確にし,体験的,作業的な学習形態を取り入れる工夫をする。
C 生徒のつまづきや学習速度など個人差に応じた支援をする。
D ティームティーチングや社会人指導者の活用を図る。
E 学習グループの構成やグループでの学び合いの場を工夫する。
(6)発展的な学習を行うために
@ 各教科で学習した内容を基に,学習の発展を図る。
A 課題解決的な学習を中心に展開する。
B 生徒同士の学び合いの場として,成果等を発表する場とする。
C 個人やグループでの学習を主体とする。
D ティームティーチングや社会人指導者の活用を図る。
E 発表(表現)の仕方を学んだり,学び方を学ぶ機会とする
6 個に応じた指導について
(1) 実態調査
@ 診断的学力検査,観点別学力検査 (学習内容の理解や習熟の程度)
A 個人カルテの作成と活用 (個人の学力の適正な把握)
B 生徒の興味・関心に応じた課題に取り組む学習
(2) 指導目標の明確化と授業設計
@ 目標分析・評価規準表の作成
A 学習過程の工夫
B 教材・教具の工夫や開発
C コンピュータ等の教育機器の活用
(3) 指導形態
@ 個別指導やグループ別指導などの学習形態の導入
(教科の指導場面に応じた,柔軟な学習集団の編成等)
A 一斉指導の授業においても,個に応じた学習過程の展開を工夫する。
7 評価の工夫について
(1) 目標準拠評価の設定
教師が生徒の学習活動を評価する場合においても,生徒が自分自身の学習活動を評価
する場合においても,適切な目標準拠評価が設定されていることが必要である。
(2) 自己評価能力の伸長
自己評価能力を伸長させるためには,まずその評価の観点と評価する基準を前もって明確
にしておくことが必要である。何をどのようにすればよいのかを具体的にあらわさなければ,
生徒は自分自身を適正に評価することはできない。
生徒がよりよく成長するためには,自身を適性に自己評価することが必要であり,自身を甘く
評価しても厳しく評価してもよりよい成長は期待できない。
自身の評価を他者の評価とつきあわせることも必要であり,さらには,教師側の評価と異なる
場合は,そのことを確認しておくことも必要であり,これを繰り返すことによって生徒の自己評価
も次第に適正なものになっていくと考えられる。。
5 選択教科について
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学力については,知識の量の多少によってとらえるのではなく,学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容
を確実に身につけることはもとより,それにとどまることなく,自ら考える力などの「生きる力」がはぐくまれている
かどうかによってとらえる必要がある。現行の学習指導要領においては,知識や技能だけでなく,自ら学ぶ意欲
や思考力,判断力,表現力などの資質や能力などまで含めて学力ととらえており,新しい学習指導要領は,こう
した学力のとらえ方を一層深め,言わば学力の質の向上を図ることをねらいとしているのである。
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発展的な学習の実施とは,学習指導要領に示す内容を身に付けている生徒に対して,学習 指導要領に
示す内容の理解をより深める学習を行ったり,さらに進んだ内容についての学習をおこなったりするなどの
学習指導であるといえる。中学校学習指導要領の総則では,「学校において特に必要がある場合には,第二
章以下に示していない内容を加えて指導することもできるが,その場合には,第二章以下に示す各教科,道
徳,特別活動及び各学年,各分野または各言語の目標や内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担過重になっ
たりすることのないようにしなければならない。」と示している。このことは,学習指導要領に示す内容に加えて
指導することが可能であることを示すものである。各学校においては,生徒の理解や習熟の状況に応じ,指導
内容を適宜工夫することが求められる。その際,学習指導要領に示す内容と全く関連のない学習や生徒の負
担過重となるような指導にならないようにすることに留意する必要がある。
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(中等教育資料 H15.2)
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